音楽が物語を動かす 文庫『キリエの歌』を紹介

こんにちは。季節が少しずつ寒くなるこの頃、音楽好きにぜひ手に取ってほしい一冊が文庫『キリエの歌』です。音楽映画が好きな方にも刺さる、歌と人生が響き合う物語をやさしく紹介します。(作品名は一般に『キリエのうた』とも表記されますが、ここでは『キリエの歌』で統一します)

『キリエの歌』とは 映画とのつながり

『キリエの歌』は、岩井俊二が手がけた同名映画の原作小説。主演はアイナ・ジ・エンド、共演に松村北斗、黒木華、広瀬すずほか。音楽の力と人の再生を、独自の詩情で描き出します。

『キリエの歌』のあらすじ(ネタバレなし)

住所不定の路上シンガー・キリエは、歌うときにしか声を出せない少女。相棒を名乗るキリコ、謎めいた乙女イッコ、そして二人と数奇な縁で結ばれた夏彦。別れと出会いを繰り返す旅の中で、それぞれの過去が交差し、やがて一つの賛歌となって響き合っていきます。少しだけ恋のきらめきも漂う、胸に痛みと希望を同時に残す物語です。

心に刺さるテーマと読みどころ

歌だけが言葉になる主人公が、孤独や喪失と向き合いながら一歩ずつ前へ進む姿は、読者の心を静かに揺さぶります。音や匂い、光のニュアンスまで立ち上がる瑞々しい描写は、ページをめくるほどにライブの余韻を感じさせます。

著者・監督 岩井俊二とは

岩井俊二は、日本を代表する映画監督・映像作家・脚本家・音楽家。瑞々しい感性と詩的な語り口で、青春や記憶、再生をテーマにした作品を数多く送り出してきました。本作でも、音楽と人の感情が絡み合う独特の世界観が存分に発揮されています。

岩井俊二の関連作もチェック

  • 花とアリス殺人事件 ー 少女たちの友情と謎を軽やかに描いた長編アニメーション。期待を良い意味で裏切る展開が魅力。
  • 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? ー 夏の一日をめぐる選択とすれ違いを、透明感のある筆致で捉えた青春譚。
  • 花とアリス ー 日常のきらめきと痛みをすくい取る、原点的な一本。
  • ラストレター ー 手紙が紡ぐ記憶と再会のドラマが静かに胸を打つ。
  • 8日で死んだ怪獣の12日の物語 ー 日常の工夫から生まれた実験的な温もりのある物語。

こんな人におすすめ

  • 音楽や歌が物語の中心にある小説・映画が好きな人
  • 岩井俊二の世界観や、詩情ある描写を味わいたい人
  • 前を向く勇気をくれる物語を探している人
  • 映画と原作をあわせて深く楽しみたい人

注意 ネタバレ一言

ネタバレ注意:物語の要所で、夏彦には別に恋人がいる設定が示されます。未読の方は読み進める際にご留意ください。

参考情報

  • https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167920616
  • https://ja.wikipedia.org/wiki/岩井俊二

まとめ

文庫『キリエの歌』は、歌が人をつなぎ、心を再生へと導く物語。映画とともに楽しめば、音と言葉が交差する余韻がいっそう深まります。気になった方は、ぜひ手に取り、自分だけの一節を見つけてください。