みなさま、初めまして!
私、雨賀(あまが)える、通称ガエさんと申します。3X歳、現役会社員です!
ビジネス関係の記事を担当させていただきますので、よろしくお願いします!
NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝
今回、ご紹介したい本は、
NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝
です。
風姿花伝とは、世阿弥(ぜあみ)が父である観阿弥(かんあみ)から受け継いだ能の奥義を、子孫に伝えるために書いたものです。
果たして、そのような本が、能が、どういった風にビジネスに関係するのでしょうか?
私が感じたビジネスと能のつながりを紹介していきますね(^^)/
ポイント
ポイントを以下の3つに絞りました!
1つずつ解説していきます!!
システムを作る
仕事上、システム化、仕組化されているものはいろいろとあるでしょう。
もしくは自身でつくったり、チームで創り上げるシステムもあると思います。
世阿弥が作ったシステムは、まさにイノベーションでした。
そのシステムを、世阿弥は「二ツ切の能」と言い、「複式夢幻能」と呼ばれるものです。
このパターンの発見は、能に画期的な力をもたらしました。このシステムが発案されたことにより、能の量産体制が確立されたからです。旅の僧と、ある物語の場所と、僧が見る夢。この形式を用いれば、あらゆる物語を能 の形に構成することができます。(中略)つまり、新たにオリジナルの物語を創作しなくととも、既存の物語の 舞台に僧が訪れていけば、同じ構造の物語がどんどんできるわけです。また、パターンが決まっているということは、今度はどの物語が取り上げられるのだろう、後半のシテはどんな装束で登場するのだろうといった、観客側のヴァリエーションへの期待にもつながります。
土屋 惠一郎. NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝 (Kindle の位置No.291-299). NHK出版. Kindle 版.
このシステムを作ったことで、まさに「無限」に作品を生み出す可能性が生まれ、お客様を楽しませられる可能性が広がったと言えます。
ガエさんの考え~システムについて~
私は、この部分を読んだときに、ゴールドラット博士の「TOC(制約条件の理論)」が思い浮かびました。
TOCでは、ボトルネックという考えが重要になります。
TOCを知りたい方には、導入として、こちらの本をおすすめします。
仕事がスムーズに進まないとき、何かが流れを制限しています。それがボトルネックです。
作品を作り上げるには多大な労力と時間がかかるものだと思います。これがボトルネックでしょう。そうなると、待っているお客様はお客様で時間を使っています。
世阿弥が作りあげたシステムは、作品を作る時間と数を最大限にし、お客様を最大限楽しませることに成功したシステムなのではないかと思います。
本書では、以下のようなことも書かれています。
『源氏物語』を題材にして能をつくったとしてもそれは世阿弥や金春禅竹一人の創造力ではなく、人々の感覚の共同の場所をとおしてつくられたと言えるのです。そこには、常に観客(マーケット)を意識していた世阿弥の姿勢が表れていると言えるでしょう。
土屋 惠一郎. NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝 (Kindle の位置No.362-364). NHK出版. Kindle 版.
マーケットへの意識、関係性の構築は、現代のビジネスにも大いに活かすことができると思います。
花
そもそも、花といふに、万木千草において、四季折節に咲くものなれば、その時を得てめづらしきゆゑに、もてあそぶなり。申楽も、人の心にめづらしきと知る所、すなはち面白き心なり。花と、面白きと、めづらしきと、これ三つは同じ心なり。(第七別紙口伝)
花と言えば、四季折々の花がある。季節が変わって咲く花であるからこそ、その花は珍しいものとなり、人々も喜ぶ。能も同じである。人にとって珍しく新しいものであるからこそ、おもしろいと感じる。つまり、「花」と「おもしろい」と「珍しさ」は同じことなのだ。
土屋 惠一郎. NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝 (Kindle の位置No.371-377). NHK出版. Kindle 版.
世阿弥は「花」という言葉に、上記引用のような意味を見出しました。
この考えも、イノベーションに通じるものがあります。
ただただ新しいものを創造するのではなく、今まであったものを新しい切り口で見たり、捉えたりする。これも革新なのです。
ガエさんの考え~花について~
オリジナリティを追求するのも良いことなのでしょうが、この世阿弥の考え方は、「守破離」に通じるものがあると思いました。
守破離とは、
- 守…師の教えを忠実に守り、型を身につける
- 破…他の流派なども取り入れ、発展させていく
- 離…独自の新しいものを生み出す
という3ステップになっています。
ビジネスでも、先輩に教えてもらったことや、セミナーで学ぶことなどがあると思います。
それがいつしか自分の下地・基礎となります。この段階は「守」でしょう。
もちろん、この基礎を守り続けることも大切なのですが、安定=成功ではなく、そこで安心してはいけません。
常に向上の心を忘れず、他から学ぶ姿勢を忘れてはいけないのだと思います。
「守」で作られた基礎は、下手をすると偏見になりかねません。自分より優れた他人を見つけたとき、避けるのではなく、そこから学ぶ姿勢が大事だと感じました。
初心忘るべからず
初心忘るべからず
一度は聞いたことがあると思います。
最初の志を忘れてはいけないという意味ですが、世阿弥はそれだけを言ってはいません。
しかれば、当流に、万能一徳の一句あり。
初心不可忘。
この句、三箇条の口伝あり。
是非初心不可忘。
時々初心不可忘。
老後初心不可忘。
(『花鏡』奥段)
土屋 惠一郎. NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝 (Kindle の位置No.498). NHK出版. Kindle 版.
是非(若い時)の初心、時々の初心、そして老後の初心があると言います。
24,5歳が若い時の初心で、この時にもてはやされても調子に乗ってはいけません。自分の未熟さを認め、自分を磨き上げる必要があります。
34,5歳が時々の初心で、世阿弥は、この頃が能の絶頂だと言っています。むしろ、この年までに天下の評判が取れないなら、「まことの花」ではないと言っています。そして、40歳以降は下がっていきます。
そして、50歳を過ぎて老後の初心が来ます。現代では50歳はまだまだ若いでしょうが、当時の50歳は老人という認識です。
老いていくしかないのですが、世阿弥は、老いて完成する芸があると言っています。老いても、その老木に花が咲くと言うのです。
ガエさんの考え~初心について~
初心について、その時々の振る舞い方にポイントがあるのではないかと私は思います。
世阿弥は、能楽師に対する姿勢を説いていると思いますが、これもビジネス、社会人に当てはまると思います。
いろいろな思い、志を持って社会に出る人がいます。その初心は忘れてはいけないものだと思います。
若いころは体力もあるし、吸収力もあるので、周囲からも持ち上げられ、天狗になってしまう時期もあるかもしれません。私もありましたし、今でも素直に上司の言うことが聞けないことがあります。未熟者ですね笑
そんな時こそ、大切なのは素直さです。自分の「我」をぐっとこらえ、人の話に耳を傾けましょう。きっと良いヒントが隠れています。
34,5歳までに天下の評判を取れないと…というのは、ホンダイノベーションの神髄(小林三郎著)に出てきた、「イノベーションが起こせるのは40歳まで」という考えに似ていると思います。
いろいろな機能のピークでもある30代のうちに何ができるか、何を残せるかというのは非常に大事だと思います。
そしてそれ以降。後進育成も大事ですが、今の年齢、能力で何ができるかを考えることが大事だと思います。天下を取れていれば、ある程度楽な暮らしが待っているかもしれません。しかし、そうでないなら、自分の立ち位置を如何に理解し、どう生きるかを考えないといけないと思うのです。
いずれにしろ、今いる自分の場所と、その先の未来を思い描くことが大切だと感じました。
それを「志」と言うのかも知れません。
まとめ
・能のシステム化→現代のマーケティングにもつながる考え方
・常に新しい、珍しい花を目指す→イノベーションの心
・初心忘るべからず→その時々(年齢)での振る舞い方があるので、現状を理解する力と未来を描く力が必要
いかがだったでしょうか?興味を持っていただけたなら幸いです。
インプットすればアウトプットをして、私も思考を整理したいので、またブログを書かせていただきたいと思います!