体温計の歴史と仕組みを知るメリット
体温計は多くの人が日常的に使う医療機器ですが、その歴史や仕組みまで知っている人は多くありません。本記事では、体温計とは何かという基本から、水銀体温計から電子体温計への移り変わり、使いやすさのための工夫までをわかりやすく解説します。普段よく使う方も、そうでない方も、ぜひ最後までお読みください。
体温計とは?測定範囲と基本
体温計は、人や動物の体温を測定するための温度計です。一般的な体温計の測定範囲はおおむね32℃〜42℃で、臨床的に意味のある体温域を高精度に測るよう設計されています。42℃を超える状態では生体へのダメージが深刻となるため、通常の体温計はそれ以上の測定を想定していません。
体温計の歴史:水銀から電子へ
かつて主流だった水銀体温計は、小型で正確、消毒もしやすいという完成度の高い計測器でした。一方でガラス製のため落下に弱く、腋下で正確に測るにはおよそ10分を要するなどの課題もありました。
1985年には、国内有力メーカーの一つであるテルモが、公共衛生の観点を重視し水銀体温計の生産終了を決断。これを機に、代替となる電子体温計の開発と普及が加速しました。
水銀体温計の長所と短所
- 長所:電源不要で高精度、消毒が容易、小型で扱いやすい
- 短所:ガラス製で破損リスクがある、腋下での実測に時間がかかる
電子体温計の仕組みと進化の工夫
電子体温計は、温度で抵抗値が変化するセンサー(サーミスタなど)で体温を検知し、電子回路で温度に換算して表示します。電子化によって、表示の見やすさや測定時間の短縮、メモリー機能などが実現しました。
自動電源オンオフの工夫(リードスイッチ)
電子体温計は電源操作が必要という課題に対し、収納ケースと連動した自動電源オンオフ機構が考案されました。本体内部に磁気でオンオフするリードスイッチを内蔵し、収納ケース側の磁石と組み合わせることで、ケースに入れると電源オフ、取り出すと電源オンになる仕組みです。これにより、使うたびにスイッチを押す手間を減らせます。
なお、この機構は全ての体温計に搭載されているわけではありません。
予測式と実測式の違い
- 予測式:初期の温度上昇データから最終体温を推定。短時間で結果が出るのが利点。
- 実測式:体温が安定するまで計測し続ける方式。時間はかかるが安定した結果が得られる。
- 使い分け:忙しい場面では予測式、正確さを最優先するときは実測式が向いています。
体温計の主な種類と特徴
- 水銀・ガラス式:高精度で電源不要。現在は代替液体式が用いられることもある。
- 電子体温計(腋下・口腔・直腸用):予測式と実測式があり、表示が見やすく機能が豊富。
- 耳式(鼓膜)・非接触式(額):赤外線で測定。短時間で衛生的だが、環境や測定姿勢の影響を受けやすい。
正しく測るためのコツ
- 測定部位に合わせた正しい位置取りを守る(腋下はしっかり密着、口腔は舌の裏側など)。
- 運動直後や入浴直後、飲食直後は少し時間をおく。
- 毎日同じ条件(時間帯、部位、姿勢)で測ると比較しやすい。
- 清潔を保つため、取扱説明書に沿って消毒・保管する。
- 電池残量やセンサー部の状態を定期的に確認する。
参考情報
体温計(Wikipedia):https://ja.wikipedia.org/wiki/体温計
テルモ 体温研究所 コラム:電子体温計の開発エピソードなど(https://www.terumo-taion.jp/about/article02.html)
まとめ
体温計は、水銀体温計で培われた高い完成度を土台に、電子化によって短時間化や自動電源、メモリーなどの使いやすさが加わり進化してきました。歴史と仕組みを知ることで、用途や場面に合った体温計を選び、より正確に活用できます。
あなたは水銀体温計と電子体温計、どちらを使ったことがありますか。使い心地や測定のコツ、推しモデルなどをコメントでぜひ教えてください。記事が役に立ったらブックマークやシェアもお願いします。次回もお楽しみに。

