浮世絵はどうやって作られる?描き方と木版画の制作工程を初心者向けに解説
浮世絵の描き方を知ると鑑賞がもっと楽しくなる
浮世絵を実物で観たことがなくても、テレビやブログの写真で目にした人は多いはずです。とはいえ、どのように作られているのかまでは意外と知られていません。この記事では、浮世絵の描き方=木版画による制作工程を、初めての方にもわかりやすく解説します。浮世絵に興味がある人も、これから学びたい人も、ぜひ最後までお読みください。
浮世絵とは?起源と広まった背景
「浮世」とは、現世のにぎわいやはかなさを指し、庶民文化の息づく世界観とも結びついています。浮世絵は16世紀末ごろに芽生え、江戸時代に一気に広がりました。
浮世絵が多くの人々に普及した主な理由は次の通りです。
- 木版画の技術が発達し、量産が可能になったこと
- 役者絵や美人画など、身近で魅力的な題材が描かれたこと
- 一般向けの読物や絵入りの出版文化が流行したこと
こうした背景により、浮世絵は当時のトレンドを映すメディアとしても機能し、多様な名作が誕生しました。
浮世絵の描き方・制作工程は4ステップ
浮世絵の制作は分業制で進み、主に次の4つの職人(役割)が関わります。
- 版元(はんもと)
- 絵師(えし)
- 彫師(ほりし)
- 摺師(すりし)
ここからは、それぞれの役割と工程を順に解説します。
版元|企画・制作進行・販売を担うプロデューサー
版元は、現代でいえば出版社やプロデューサーに相当します。どのテーマでどんな浮世絵を出すかを企画し、絵師・彫師・摺師に指示を出して制作を進行。完成品の管理や販売も担当します。蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)のように、名だたる版元が時代のヒット作を世に送り出しました。浮世絵には絵師の落款だけでなく、版元印(屋号)も刷られ、品質と信頼の印となりました。
版元に求められたのは、時代の流行を敏感に捉える嗅覚と、有力な絵師を口説き、適切な職人チームを編成するプロデュース力です。
絵師|デザインと色指定で作品の顔をつくる
絵師は作品のデザインを担う、いわばアートディレクター。まず墨一色で下絵(画稿)を描き、構図を固めます。決定稿となる版下絵を作成し、いったん彫師へ。主版(モノクロの版)を摺り出したのち、絵師はその刷り見本に「ここは朱、ここは藍」など色指定(色さし)を書き入れます。色版を用いた本刷りの際も立ち会い、最終的な仕上がりをチェックします。
葛飾北斎や歌川広重に代表されるように、絵師のセンスと構図力が作品の魅力を大きく左右します。
彫師|線の表情と質感を彫り分ける職人技の要
彫師は、絵師の版下絵を薄い木の板(版木)に裏貼りし、彫刻刀で不要部分を丁寧に除いて版を作ります。髪の毛の細い線や着物のしわ、布の質感など、描線以上のニュアンスを彫りで表現するのが腕の見せどころです。
主版で輪郭や線を刷ったのち、色指定に基づいて複数の色版を制作します。例えば3色なら主版1枚+色版2枚、10色なら色版だけで9枚必要になるなど、精緻な分業と高い技術が求められました。
摺師|色の重なりと均一な仕上がりを生むフィニッシャー
摺師は、彫師が作った主版・色版を和紙に一枚ずつ丁寧に摺っていく職人です。一般的に、摺り面積の小さい版、色の薄い版から順に重ね、見当(位置合わせ)を厳密に合わせます。ぼかし表現では刷毛や霧吹きを使ってグラデーションを出すなど、繊細な手技が作品の空気感を決定づけます。
参考リンク
浮世絵の基礎解説や制作工程のイメージに役立つ参考ページです。URLはテキストとして掲載します。
- https://web-japan.org/kidsweb/ja/virtual/ukiyoe/ukiyoe01.html
- https://media.thisisgallery.com/20199604
まとめ
浮世絵の描き方は、版元・絵師・彫師・摺師という4つのプロフェッショナルが連携する分業の妙で成り立っています。次に浮世絵を鑑賞する際は、企画から色指定、彫り、摺りまでの工程に思いを巡らせてみてください。きっとディテールの意味や職人技の凄みが、より深く感じられるはずです。