“人類の希望”と期待される少年神父と、“七つの大罪”の魔王との熾烈な争い
「エクソシストを堕とせない」(エクソシストをおとせない)は、原作の有馬あるま先生、作画のフカヤマますく先生による作品でウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」にて、2021年12月15日より連載中の作品です。
単行本は2023年10月現在で6巻まで発売されており、次にくるマンガ大賞2022にてWebマンガ部門にて第9位に選出された実績があります。
週刊少年ジャンプの公式サイトによるあらすじでは
神に選ばれし少年は、最強のエクソシストとして魔王たちと死闘を繰り広げていた。人類の命運を背負いつつも本当は静かにお菓子作りをしていたい、そんな彼に訪れた一人の少女との出会い…。これは壮絶な聖戦の中で芽吹いた、恋と希望の物語。
と記載されています。
本作の主人公である神父の少年(名前は不明)は捨て子として拾われた後、最強のエクソシストへと育てられましたが、虐待と同じような苛烈な訓練を経験しました。神への信仰に身を投じ、悪魔との戦いにも危険を顧みず挑むが、繊細な内面を備え、生きることによる苦悩を抱えています。
そんな中、魔王サタンの企みを防ぐべく18歳の画家である愛月イムリを守るために神父はイムリを狙う悪魔たちと戦うことになりますが、イムリとの出会いによってその心に恋と希望を抱いていく・・・という話です。
引き込まれるストーリー展開と見え隠れする伏線が絶妙。
物語はプロローグとして本編の4年前、2018年の出来事から始まります。
なにか言われると聖書の教えを口にする少年は人類の希望たりうる存在として清らかでなくてはならないと育て上げられますが、そんな彼は七つの大罪の一つ、色欲を司る魔王アスモデウスと戦うことになります。
その戦いの中でアスモデウスの誘惑の術を受け、それがきっかけとして虐待されてきたトラウマが蘇りますが、誘惑のセリフとして口に出された”天国”という言葉を元に聖書の一節を頭に浮かべることで誘惑を振り払いアスモデウスを撃退するのです。
その戦闘の最中に、聖書の一節に則り自身の右目を犠牲にする少年に対し、育成役の神父は背景にある「神の教え」を叩き込んだ存在に戦慄を覚え、生きるのが苦しいと零してしまった少年に人生の先輩のアドバイスとして「恋をしろ 人を愛せ」と伝えるのです。
一話目のプロローグからキリスト教における「7つの大罪」の一人という、他作品でもよく聞くようなビッグネームと出し惜しみなく一話目から戦闘させる大胆さにも恐れ入りますが、
その名を持つ魔王を上回る少年の戦闘能力の高さなど、隠された要素も多く存在するかなり充実したプロローグになっています。
1話の最後の展開としては現代の2022年に戻り、魔王サタンの犯行声明を受け企みを防ぐべく画家である少女「愛月イムリ」を尋ねる流れですが、ここで「恋をしろ」と教えられた少年に「この世で最も重い罪は恋」だと告げる少女との対峙という、かなり引きの強い終わり方はインパクトが強く、読者を早く次の話が読みたいという気持ちにさせるだけのパワーがあります。
主人公の神父の少年が持つ危うさやイムリの秘密、隠された少年の名前や「別件」として扱われている任務の謎・・・・そして神父とイムリのラブコメは展開するのかなど、気になる要素が数多くあり、一度読んだら続きが気になること請け合いの力作です・・・!
その後第2話では愛月イムリの正体が明かされていくのですがこれがまた怒涛の展開で、作品タイトルはそういうことなのか、と思わされるのですが、ぜひご自身の目で確かめていただきたいです。
ジャンプ作品らしさを持ちながら優れた画力にも注目
そしてこの重厚と言えるストーリーを彩るのが圧倒的な画力です。
少年の頭身はやや低めに描かれており、少年漫画的な画風ではあるのですが、太い線で描かれるキャラクターは魅力的で、女性キャラクターも美麗に描かれていてページを彩っています。
キャラクターと対比するようにやや細めの線で直線的に描かれていることの多い背景はキャラの存在感を際立たせている印象です。
またコマ割りなども工夫がされており、大きいコマと小さいコマとの情報量のバランスも程よく読みやすいのですが、バトルシーンになると大きいコマ多用するされ、迫力のあるバトル演出が優れた画力によって描かれていて、その見ごたえはとても高く仕上がっています。
バトルシーンも、エクソシストの少年神父が聖書の一節を呪文のように唱え、奇跡を発動させて悪魔を祓うシーンは、迫力と美麗さを持ち合わせた圧巻の出来栄えです。
アニメ化の予定は現在発表なし。実現したら神作画に期待!!
そんな「エクソシストを堕とせない」ですが、2023年10月時点ではアニメ化などの情報は確認できませんでした。
ですがジャンプチャンネルにて公式PVがアップロードされています。
PVが製作されている作品は多くアニメ化がされている傾向にありますので、期待できる一つの要素として捉えることが出来ます。
PVでは主人公の少年神父役を斉藤壮馬さんが、イムリ役を高橋李依さんが務めており、キャラクターの雰囲気をそのまま落とし込んだような素晴らしい演技をされています。
アニメ化の際にはぜひともこの二人はそのまま続投していただきたいですね!
ジャンプ+での連載話数も現在50話とかなり原作ストックが出来ている状態ですので、アニメ化が発表されてもおかしくはない話数になっていると言えます。
そしてもしもアニメ化されたのであれば、原作が一コマ一コマが切り取って額縁に入れたくなるような出来の作品ですので、奇跡を起こしているシーンや戦闘シーンやなどの、神秘的な美麗な演出の映像化に期待したいですね。
そんな、ジャンプ+の中でも随一な魅力を持つ「エクソシストを堕とせない」は現在少年ジャンプ+にて連載中です。
期間限定ではありますが現在18話まで無料で読むことができるので、興味をもたれた方はぜひこの機会にお試しください!
参考URL
ttps://realsound.jp/book/2022/06/post-1046836.html